WORKS

竜の蟇股の彫刻

長浜天満宮が道路拡張のため新調されるということでお仕事させていただきました。

写真の竜は正面の向拝の蟇股です。

両面だったので結構大変でした。

ちなみに元の見本は目が離れていたので、少し修正したのと持ち込まれた木材が、見本より少し縦長だったので、部材に合わせて絵を描きなおしたので若干形が変わっています。

見本は目が離れていておメメパッチリですが、これはこれで迫力があるなと思います。

長浜天満宮、蟇股の彫刻、波兎、雲鶴

蟇股と言うとカエルが四股を踏んでいるような外枠がつくものと、外枠は付けずに彫りだけものもとありますが、今回は彫だけです。

枠が付くと彫りにくいのでやり易い。

しかし見積の見本と、宮大工さんが持ってきた材料の厚みが違っていて「大分厚いやないか!」と思っていました。

厚みがあるとそれだけ深く彫らなければならないの手間賃が合わなくなるわけです。

それから見本の雲の部分もいい加減にデザインされているところがあり、「こりゃ辻褄を合わせるために適当に描いたな・・」と思われる部分もあって、絵を描きなおしたりしてました。

そんなこんなで「見積時と思ってたんとちゃうぞ!」と思ってたより大変な思いをした仕事でした。

上の二つが見本

長浜天満宮

宮大工さんから見本の獅子と獏の木鼻の顔を「もうちょっとカッコよくして!」と言われたので、顔の感じを変えてみました。

速くほしいを言うことだったので、兄に獅子を、獏は私が彫りました。

ちなみにもともとついていた獅子と獏は確かにお顔はいまいちですが、体は出来るだけ手間を入れずにそれなりに見えるように工夫されているなと思います。

木鼻の獅子獏は作るのに地味に手間暇かかりますので

これはこれで工夫だなと思います。

上がもともとの獅子と獏。


長浜天満宮

桁隠しの彫刻、桁隠しと言うのは建物を横に通っている柱か垂木の木口を隠すためのものです。

柱の木口が見えているとみっともないとか、木口が風雨によって劣化するのを防ぐためとかあるみたいです。

図柄は雲に鶴です。


見本からして結構深く繊細に彫ってあるので、仏壇の彫刻など彫っていた人が作っていたのかな?と推測してみる。

長浜天満宮

笈形の彫刻、笈形は神社側面の屋根の下、三角形のところに入る彫刻です。

図柄は雲鶴

長浜天満宮の仕事は鬼板以外はすべて木曾ひのきでした。

木曾ひのきと言えば木材の中でも最高級品、柔らかくて彫りやすいというイメージがあったのですが、笈形を彫ったこの部分は何故か硬い。

そしてやりにくい木でした。

木曾ひのきでも色々あるようです。

お寺の仏さんが入られる空殿厨子の上下に入る竜の彫刻です。

神社だと扉の上か下に入っているものもありますし、仏壇の上の方にある狭間にも使われています。

今回は一木彫りではなく、顔と腕を付け彫りにしました。

仏壇仏具などでよく使われる手法です。

これは仕事ではなく、竜を彫る経験があまりなかったので、勉強と研究がてら練習のつもりで彫りました。

「なんとなくこんな感じ」でフワッとした感じで彫っていたので、今回の練習で結構、自分の中で形を突き詰められたんじゃないかと思う。